グリース

1. グリースとは何か?

前回のコラムで潤滑油のお話をしました。
では、潤滑油とグリースと違いとは何でしょう?
単純に言えば、サラサラしているのが「潤滑油」、ベトベトしているのが「グリース」です。
※潤滑油やグリースによって、ちょう度は変わります。

もう少し詳しくお話すると…
液体の基油(潤滑油)の中に、増ちょう剤と呼ばれる微細な固形物を分散させ、半固体状(ペーストのような状態)にしたものをグリースと言います。

 

 

 

 

用途に応じて様々な基油、増ちょう剤が用いられます。
また、添加剤は、高負荷に耐える、防錆力を上げる、酸化を防止するなど、様々な目的に応じて添加されます。

・基油
・・・精製鉱油、エステル、ポリグリコール、PAO、シリコーン油、フッ素油 など
・増ちょう剤
・・・リチウム石けん、アルミニウム石けん、有機ベントナイト、ポリウレア、フッ素樹脂 など
・添加剤
・・・極圧剤、防錆剤、腐食防止剤、酸化防止剤、粘度指数向上剤 など

これら3要素の組み合わせにより種々のグリースを製造
⇒ 無数の種類のグリースが製造可能

グリースの主な用途は「潤滑」ですが、他にも消音、防錆、電気接点の保護など、多岐にわたります。

 

 

 

 

 

※グリース

 

2. グリースの成分と構造

主な成分は基油(70~98%)、増ちょう剤(1~20%)、添加剤(0~10%)です。
(※割合はグリースにより異なる)

増ちょう剤は繊維状の高分子で網目構造を形成しています。
まるで、「ミクロの糸くず」のようなイメージ。この「ミクロの糸くず」の網目の隙間を埋めるように、基油が存在しています。

 

通常、潤滑油のような流動性はなく、ゲル状態を維持しています。
付加がかからない状態では、半固体状(ゲル状態)を維持しており、この時点ではあまり潤滑性がありません。そこに、一定以上の負荷がかかると、増ちょう剤の網目構造が崩れ、液状(ゾル状態)になり、潤滑性が増します。負荷が一定以下になると、元の半固体状に戻ります。この性質を利用して、潤滑剤として使用します。

 

 

 

 

注意:上のモデルはリチウム石けんグリースなどのしくみを模式的に示したものです。増ちょう剤にPTFEやウレアを使用したグリースやなど、しくみが異なるものもございます。

難しく書きましたが、水をふくんだスポンジを想像してみてください。
手でギュっと握ると水が流れ出ますが、その水の上に置くと、スポンジはまた水を吸収して、元に戻りますよね?
そんなイメージです。

3. グリースの使用用途

まずは、グリースの特徴と留意点を簡単にまとめました。

【グリースの特徴】
・付着性が強い
・漏れや飛散が少ない
・メンテナンスの手間が減る(塗布する回数が潤滑油より少なくて済むため)
・機械の構造がシンプルにできる
・少量で十分な潤滑性が得られる

【留意点】
・高速回転には向かない
・一定の負荷がかかるまで、潤滑性に劣る
・動き出しが重い
・冷却効果が低い
・ホコリやゴミが付着しやすい

このような特長から、密閉された箇所の潤滑等に用いられることが多いです。

使用例として、自動車の車内の椅子を思い浮かべてみてください。
椅子を前に出したり、後ろに引いたりするレールがありますよね?
そのレールを触ると、ヌルってしませんか??それがグリースです。

椅子のレールに潤滑油を使用するとなると、油で自動車や服が汚れ、すぐに油切れが起こります。また、潤滑油を給油するためや、漏れを防ぐための構造が必要となります。さらに常にメンテナンスが必要となるため、消費量も多くなります。
そこで、油漏れもなく、密閉された単純な構造で、ほぼメンテナンスフリーで使用可能グリースを使用するのです。

グリースの選定の仕方には様々な工程があるのですが
つづきはまたグリースの詳細についてのコラムをお楽しみに・・・

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