切削液タンク清掃

今回は切削液タンク清掃について。

なんでも、こまめに清掃するのが一番なのですが、切削液タンク清掃は機械を止めて行う大仕事。そんなに頻繁には出来ませんよね。そこで、ポイントを知って、日ごろから水溶性切削油剤(以下切削液)の管理を心がけましょう。

 

■ポイント1 どうして切削液タンクを清掃するの?

簡単に言ってしまえば、「汚れたから」。想像してみてください。お風呂や台所の配管でも、汚れたまま放置して使い続けると、どんどん汚れがたまってきて、気が付いたときには・・・・・きゃ~っ!!!なんてことに。

【主な理由】

・異物の混入

スラッジや切り屑、摺動油や防錆油など、回収しきれない異物がタンクに混入して、堆積します。

・浮上油の発生

タンクに混入した潤滑油や他油などは、比重差により浮上します。また、これらは、切削液の液面を

覆い、細菌の栄養源となるのです。

・切削液の硬度上昇

水分の蒸発に加え、スラッジや切り屑との反応により、切削液の硬度が上昇します。

日常の作業の中にもさまざまな理由が隠れています。日頃から行える対策としては、液浄化システム(フィルター装置)の導入や、浮上油のこまめな除去(オイルスキマーの利用)をおススメします。

  

■ポイント2 清掃しないとどうなるの?

タンクの汚れはさまざまな問題を起こしかねません。症状においては、さまざまな原因が、さまざまな症状の要因になり得ます。原因を一つでも少なくすることが大切なのです。

 【主な症状】

スラッジや切り屑が混入したままの状態にすると・・・

切削液の成分が堆積物に吸着してバランスを崩します。そのまま放置すると切削液の劣化が進み、次の症状が現れます。

・pHの低下

・悪臭

・冷却性の低下

・工具寿命の低下

・加工精度の低下

・錆

・シミ

浮上油が多い状態では・・・

切削液の濃度が分かりにくく、適切な濃度の管理が難しくなり、次の症状が現れます。

・工具寿命の低下

・加工精度の低下

・pHの低下(原液を補給してもpHが上がらない)

・腐敗(バクテリアの繁殖)

・錆

・シミ

・配管の詰まり、フィルターの目詰まり

■ポイント3 切削液タンク清掃の手順

ここでは、切削液タンク清掃の基本的な手順を説明します。これらは、一つひとつが重要であり、また大変な作業です。油剤を取り扱う専門業者へ依頼することもおススメです。

【タンク清掃の主な手順】

1.劣化が激しい場合は、ポンプや配管に付着した異物除去を目的に、抜き取り作業前に殺菌剤や洗浄剤を添加し、循環する

2.切削液を抜き取る

3.タンク内のスラッジや切り屑を取り除く

4.フラッシング(薄く希釈した切削液を循環させ、残った汚れを切削液と一緒に取り除く)

5.切削液を張り込む(切削液メーカー推奨倍率)]

■ポイント4 切削液の管理

劣化した切削液を正常の状態に戻すのは至難の業です。何より、正しい切削液の清浄管理を定期的にすることや、目的にあった添加剤や防腐剤を使用することで微生物の増殖を防止することが大切です。

あ、水溶性切削油剤の腐敗については、コラム「水溶性切削油剤の腐敗」を読んでくださいね。

 

油剤管理

http://www.vaden.tokyo/technical/management/

 

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