今回は、前回のコラムのつづきです。ですので、少しおさらいです。

“錆対策は防せい油を塗りさえすれば万全”という思い込みに落とし穴が隠れています。

防せい油を塗ったのに季節によって錆が発生するケースや、錆の原因が分からないなんてことも。

時間と費用を掛けて造った大切な製品に錆が発生すると、検査や錆除去作業にコストも時間も掛かります。大切な製品を錆から守るため錆びる条件を知り、錆びない理由を知ることで、根本から錆を断つ必要があるのです!!・・・と前回のコラムでお話いたしました。

さて今回のテーマは

1.錆のメカニズム

2.腐食因子の同定と改善策【具体例】

3.錆の原因とその対策【実験】

では早速レッツ・・・

1.錆のメカニズム

錆のメカニズム

■錆のイメージ図①

A:付着物(腐食因子)が目に見える場合と見えない場合があります。

B:そのまま防せい油を塗布してしまうと、防せい油の下に付着物(腐食因子)が入りこんだ状態になります。

C:付着物(腐食因子)に対して、温度や湿度の違いや温度変化により、錆の反応の速さは違います。

D:通常現われない錆も梱包方法や保管環境が変わることで錆へと進行します。

■錆のイメージ図②

水分や異物など付着物(腐食因子)が無ければ、防せい油塗布後も変化はしません。

付着物(腐食因子)が無ければ錆の発生を長期に防ぐことが可能になります。

2.腐食因子の同定と改善策【具体例】

下の写真のサンプルは、防せい油を使用したにも関わらず、1週間後に発錆した例です。

防せい油を使用する際、このサンプルの表面には付着物等は目視できませんでした。

では、このサンプルは、防せい油を塗ったのに何故錆びたのでしょうか?

【改善策】

腐食因子の同定をし、錆原因の特定。

今回の原因は、防せい処理を行った際、金属表面に腐食因子を含む水分と無機物が残っていたことでした。対策は、水置換性防せい油を使用することで改善しました。

3.錆の原因とその対策【実験】

【実験その1】サンプルの付着物(腐食因子)の可視化

東京都の水道水と純水をそれぞれ100cc、80℃に加温し、24時間放置します。

水には、さまざまな不純物が含まれています。その中のカルシウムとマグネシウムの合計含有量の指標が硬度です。(詳細は12月コラムをご参照ください。)

目で見る限り、水道水も、純水も無色透明で何かが混ざっているようには見えません。

【結果】

水道水の方に、隠れていた無機物(腐食因子)が見えました。

水道水は一見、何も混ざっていないようで、腐食因子が溶け込んでいるため、水分が付着すると、錆が発生するのです。

しかし、すべての工程を純水で処理するのは難しいことかもしれません・・・

そこで、水分の除去に有効なのが水置換性防せい油です。

【実験その2】水置換性防せい油の特性試験

水分のついた試験片に水置換性防せい油を塗布し、様子を観察します。

【結果】

水置換性防せい油を塗布後、試験片表面の水滴は瞬時に取り除かれました。

さらに水置換性防せい油の役割は、水分除去の他に、水分に含まれる無機物の除去という、特殊な役割があります。

 

防せい前処理として、水分の乾燥を目的とした乾燥工程では防ぐことの出来ない腐食因子の除去としての効果が得られます。

金属表面に水分や汚れを残したまま防せい処理を行った場合、条件が揃えば錆は発生します。洗浄や乾燥などの前処理に水置換性防せい油をご検討ください。

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